みなさんのご関心、ご期待にお応えできるよう、できるだけ多様な内容になっております。どうぞ積極的なご参加をお願いいたします。
日本遊戯療法学会第29回大会大会長 村松 健司
Ⅰ 日時と受付
6月30日(日)9:30〜12:00 (オンライン受付 8:45〜)※B 吉川 眞理(学習院大学) 遊戯療法とアセスメント」に関しましては、9時45分開始とさせていただきます。
Ⅱ 講師ならびに内容紹介
WORKSHOP A
講師:千原 雅代(天理大学)
被虐待や発達早期の母子分離など原初的養育関係を体験できなかった子どもたちとのプレイを取り上げ、セラピーの構造化と心を育むことについて検討します。最近は、児童養護施設等で、生活のなかに心理士が入っています。その場合、会う頻度が高い分、関係は強く深く成立します。一方、プレイを構造化すると、子どもは、生活の場とは異なる時空間と関係性を体験することになり、それが心を育むことに資すると考えます。前半では、ラカンが記載した保育士による支援事例を含めて千原が概説し、後半では児童養護施設における構造化されたプレイセラピーを報告いただき、構造の意味と心の成立について検討します。
WORKSHOP B
講師:吉川 眞理(学習院大学)
遊戯療法導入に際して、どのようなアセスメントが求められるて‘しょうか?そして、どのようにアセスメントが行われていくのて‘しょうか?本ワークショッフ゜ては、 l)遊戯療法に伴うアセスメントについて、事例を用いてわかリやすく紹介します。また、2)アセスメントが遊戯療法に及ぼす影響についても考察してみたいと考えています。たとえば、遊戯療法を促進するアセスメントとは、どのようなアセスメントて‘しょうか?さらに、アセスメントが遊戯療法の障害となり得る可能性についても、検討してみたいと考えています。
WORKSHOP C
講師:金丸 隆太(茨城大学)
子どものアセスメントにおいては、保護者からの聴き取りや、子どもの観察の他にも、心理検査の結果があると有益です。発達検査や知能検査が用いられることが多い中で、今回はドイツのウルスラ・アヴェ=ラルマンによって開発された「星と波描画テスト」という投映描画法を紹介します。基本および遊戯療法への活かし方を解説します。
WORKSHOP D
講師:波多江 洋介(白百合女子大学)
児童養護施設において実施される遊戯療法は、子どもの退所等の外的な要因によって終了となることも少なくない。そのような場合、子どもの内的な必然性に従って終了するわけではないために、遊戯療法が終了することに対する子どもの反応にも「中断」に対する反応と「終結」に対する反応が入り混じる。したがって、このような事例におけるセラピストの対応は、「中断」に対するクライエントの怒りなどの感情を受け止めることと、「終結」にむけての作業を支持することの両者を同時に行わなければならないという独特の難しさを孕んでいる。そこで、このWSでは、外的な要因によって終了した事例をいくつか取り上げて、このテーマについて考えてみたい。
WORKSHOP E
講師:黒川 嘉子(奈良女子大学)
発達障害(神経発達症)、発達の特性、発達の偏り、発達の凸凹、グレーゾーン…“発達の問題”がある(と考えられる)子どもにとって、プレイセラピーはどのような体験になっているのでしょう。最初は、そうした発達の問題のために養育者が育てにくさを感じたり、園や学校で不適応な状態になっていることで相談機関に来ることになった子どもも、Winnicott(1971/1979他)が「治療的な遊びで重要なのは、子どもが自分自身を突然発見するという契機である」と述べているように、プレイセラピーの場で固有のこころの世界を展開していきます。本ワークショップでは、身体感覚も総動員した情緒的関わり合いを基盤として内的主観的体験を共にするというプレイセラピーならではの視点で、こころを通した“発達”について考えてみたいと思います。
WORKSHOP F
講師:國吉 知子(神戸女学院大学)
遊戯療法において、良いセラピストは常に「今ここ」での子どもの一挙手一投足に注目し、子どもを見守っています。しかし同時に、自らの状態にも常に意識を向けて、セラピストとして拓かれた状態にあることが重要です。この態度は、従来から「関与観察」(Sullivan, H.S.)、「平等に漂う注意」(Freud, S.)、「Here and Now(Rogers, C.)」と言及されてきていることは周知の通りです。その一方で、マインドフルネスの視点から見直してみますと、これらの態度は実にマインドフルな態度であると考えることができます。本ワークショップでは、セラピューティックな視点から「マインドフルネス」の注意制御機能に着目し、遊戯療法において「マインドフルなプレイセラピスト」として重要な「意識の使い方」について、PCIT(親子相互交流療法)の主要スキルを取り上げながら、具体的に解説します。
WORKSHOP G
講師:倉光 修(倉光修カウンセリングオフィス)
人間の心の世界では、外的状況に即応して生じる感覚や知覚だけでなく、より内的なイメージ(回想や予想、空想や幻想)と、それらに伴われる感情や欲求が、ほとんど常に生起しているのではないでしょうか。そして、心理療法のなかでも(とくに箱庭や絵画、夢や物語などに関心を向ける)プレイセラピーにおいては、クライエントの内的イメージが豊かに展開するプロセスをセラピストが追体験していくことが、心理的問題の克服とパラレルに生じることが多いように思います。このセッションでも、皆さんと共に、そうしたイメージ展開を(通常は言葉を発しない「何か」と対話しながら)味わって、プレイセラピーについて語り合いたいと考えています。
WORKSHOP H
講師:伊藤 真理子(新潟青陵大学)
プレイルームの中に箱庭療法の用具を準備されている方は多いだろう。子どもは遊びの中で様々に箱庭を用い表現する。作品はどんなふうに扱えば?アイテムを箱の外で使ってもいいの?遊び始めちゃって作品にはならなかったけど?等々、セラピストの側にもいろんな疑問や戸惑いの気持ちが浮かぶことと思う。本W Sでは、こういった基本的な疑問に応えながら、遊戯療法の中で箱庭がどのように用いられうるのか、どのようにその表現を受け取ろうとするのかについて考えてみたい。
*事例提供者募集:プレイセラピーの中で箱庭を用いた事例(箱庭表現は一度でもO K)の検討を行いたいと思います。ご希望の方はW S申込の際に事務局までお申込みください。
WORKSHOP I
講師:内海 新祐(旭児童ホーム)
児童養護施設において、子どもたちへの心理療法的アプローチにはさまざまなものがあるが、遊戯療法はその中でやはり重要なものだと私は考えている。ここでは、施設における遊戯療法が果たす役割と意義について、複数の角度から例を挙げてお話をする。
WORKSHOP J
講師:永井 撤(東京都立大学)
子どもに遊戯療法を実践する時、親面接も別の担当者が並行して行う場合が一般的な支援として実施されています。このような形で支援していく場合には、基本的には、親面接は子どもを支援していく上での協力者としての役割が期待されます。ところが現実には親との面接に困難を抱え、そのような役割を期待できないことに悩んでいる支援者も多くいるかと思います。ここでは、このような状況で実施される親面接において、どのような姿勢で取り組むことが、子どもの支援を円滑に行う上で役立つか、そのようなヒントについて、自身の経験をもとに具体的な事例を取り上げながら考えていきたいと思っています。
Ⅲ 受講資格
教育講演(ワークショップ)は、非会員の方 (日本遊戯療法会学会員以外の守秘義務を有する専門職の方、臨床心理学を学ぶ大学院生)も学会員に加えて参加可能です。
Ⅳ 教育講演(ワークショップ)参加の申し込み方法
本ページの申し込み概要ページをお読みの上、お申し込みフォームよりご希望のコースを指定し、お申し込みください。申し込み締め切りは、2024年6月20日(木)となります。
教育講演(ワークショップ)参加費は、お申し込みの際にご案内する振込先に大会参加費などと合わせてお振込みください。振り込み期限は、2024年6月24日(金) です。
オンライン配信では、Zoomを使用します。事前にZoomによる受講方法のご確認をお願いします。
Ⅴ 教育講演(ワークショップ)受講料
参加料金
学会員 | 3,000円 |
非会員 | 4,000円 |
大学院生 | 3,000円 |
Ⅵ 受講通知
お申し込みいただいたコースを受講いただけます。受講通知は致しませんのでご承知おきください。
Ⅷ 当日参加について
当日のお申し込みは受付致しません。お申し込み期日を過ぎてからの参加希望は、事務局までお尋ねください。なお、ご希望に添えないことがありますのでご承知のほど、よろしくお願いいたします。
Ⅶ その他
日本臨床心理士資格認定協会の研修ポイントは、「臨床心理士教育・研修規程別項」第2条第3項をご覧ください。なお、非会員の方は2日目の教育講演(ワークショップ)のみの参加ではポイント対象にはなりませんので、ご注意ください。非会員の方のポイント取得は、「教育講演(ワークショップ)と2日目の大会参加」が必要です。